多数の参加者があり、ありがとうございます。また、今回のセミナー開催にあたり、動物病院を紹介して頂いた、「むさしの地域猫の会」に、お礼を申し上げます。
日時:2015年8月9日(日) 13:30~16:45 日本獣医生命科学大学 B棟513講義室 において、ふく動物病院院長 出浦和也 氏・ハナ動物病院院長 太田快作 氏をお招きし、飼い主のいない猫の不妊去勢手術~その手法とあり方~と題し、出浦医院長の子宮卵巣摘出術・太田医院長の卵巣摘出術のビデオを使用したセミナーを開催しました。
獣医師を対象にしていますので、専門性が高いため、この場での術式・消毒薬・縫合糸種類・麻酔薬・使用器具・抗生薬等の報告を割愛させて頂きます。
【ハナ動物病院院長 太田快作 氏】
卵巣摘出術ビデオを流しながら、説明をされました。
【ふく動物病院院長 出浦和也 氏】
子宮卵巣摘出術ビデオを流しながら、説明をされました。
【参加地域】
狛江市・調布市・武蔵野市・小金井市・府中市・国分寺市・多摩市・西東京市・東久留米市・日野市・八王子市・中野区・練馬区・世田谷区・杉並区・荒川区・新宿区・渋谷区・板橋区・目黒区・足立区・品川区・さいたま市・川崎市・越谷市・川越市・新潟市
【所属】 ( ) 内数値は人数・・・講師2人除く
獣医師(8)・公務員(2)・法務関係(2)・東京都動物愛護推進員(1)・学生(1)・介護士(1)・自営(2)・パート(1)・会社員(3)・主婦(4)・ボランティア(23)・無記名(13)
【アンケート結果および感想】
アンケート結果より、40%(アンケートに無回答の方を含めると63%)の獣医師が飼い主のいない猫の不妊去勢手術を施そうと思わないとありました。動物病院としてのリスクが高いことは、セミナーに参加された方はご理解して頂けたいと思いますし拡散して頂けると思います。獣医師の方々も地域社会の構成員として、病院外で知識を生かして猫が起因とする環境問題(地域の特殊事情による鼠等の対策含む)を地域住人により改善する活動に、参加して頂きたいと思います。東京都動物愛護管理推進計画において、飼い主のいない猫対策として、譲渡会への支援の項目があります。地域社会の猫が起因とする環境問題を改善する活動においては、猫に飼い主をみつけ、室内飼いをして頂くことは、特筆に値する事です。この事は、自営業の多い動物病院の将来の患者を増やしていますので、今後は、顧客確保として不妊去勢手術を施す獣医師の方が増えると思われます。今回の講師の両先生とも、飼い主がいないので(飼い主がいらしても同じ)手術に失敗は許されない・術式に確信があると繰り返しています。自ずとリスク回避を含んだ医療知識・手術技術を示す一端となります。現在の地域住人は、地域猫活動の認識が低いため、地域社会の飼い主のいない猫が起因とする環境問題を改善しようと考える方が少ないです。その為、猫の生息地域で地域の環境問題のために動いている方への手術費用が集中していますので、ボランティア価格で手術をして頂ける動物病院へ集中する傾向があります。集中することにより、飼い主のいない猫の手術をしない病院と診たてを含む医療技術の差(多数の手術を施すので不妊去勢手術以外の外科的手術が必要な場合がある・・・費用は不妊去勢手術費内)が開くことは、今回の講演で感じました。
また、両獣医師とも、飼い主がいるいないに関わらず、診療・手術の結果が芳しくない場合は、連絡を欲しいと言われていました。獣医師にとって重要な事ですが、現状では少ないそうです。
飼い主のいない猫の不妊去勢手術への行政の助成金を使用する場合、地域の獣医師会が、捕獲後15時間の絶食が条件との話で、根拠を尋ねられた方がいました。尚、同獣医師会に所属する獣医師が助成金を使わない場合は、8時間の絶食で手術可能との事です。両獣医師の回答では根拠不明とのことでした。動物の福祉を考えると、絶食時間を短くするのが、獣医師の立場では?と疑問が湧きます。これは、リスク管理を含めた獣医師の能力差が現れていると考えられます。獣医師会の中で、15時間欲しいと言われた獣医師に合せた時間と考えられます。今回セミナーを開催するにあたり、ポスターを手渡した動物病院でお話を伺いましたが、飼い主のいない猫の手術は、避けたい・他の動物病院に依頼するなどありました。また、捕獲器の取扱いを知らない獣医師もいらっしゃると嘆いていた獣医師もいらっしゃいました。日本獣医師会では、環境省の施策である地域猫活動に対して明確な方針を出していませんが、リスク管理を含めた個人の能力を問われる事項なので、方針を出すのは難しいのでは?と思われます。行政が不妊去勢のため出す助成金は、地域社会の環境改善のためのであり、猫ためではないと割り切って動物病院を限定しないと考えて頂ければ、地域の環境問題の改善のため、飼い主のいない猫を抱えて腕がよく安価な獣医師を探しているボランティアが助かると思います。
地域猫の考え方は、環境問題を地域住人自ら改善する活動なので、術後の管理が最重要になります。健康な猫のお腹を開いて手術を行うことになりますので、猫にとっては迷惑になります。猫トイレ設置・置き餌をしない給餌給水・給餌箇所回りの掃除をお願いします。手術された獣医師の外科的技術力を確認してください。また、体調不良の猫の治療の相談も獣医師にしてください。地域で、体調不良の猫がウロウロしていれば、環境的に嫌な気分になりませんか?地域の環境問題と動物の福祉を両立させていくための活動が、地域猫活動になります。
猫ボラ同志仲が悪いとの質問がありました。世間で猫ボラと言われる方には、地域猫・愛護・愛護地域猫の三通りに別れます。動物の愛護および管理に関する法律 第1条へのアプローチの方法の違いによるものと考えています。それぞれの団体は、必要に応じて存在しています。地域の情報交換・手術費の情報・獣医師の技術力の情報・猫捕りの人相風体移動手段の情報等共有されています。私共、地域猫活動の根本は、十人十色である事を認めた上で、環境を良くする活動になります。
野良猫を飼いたい場合は、外飼いの猫の可能性があります。外飼いの猫の確認は、写真を撮ってチラシにし地域に配布してください。また、万全を期する為には、地元警察署の会計課および市区町村役場・保健所・愛護センターに、遺失物の届がでていないか写真で確認してくだい。その後、保護し動物病院に連れていき、不妊去勢手術の有無およびマクロチップの確認した後、飼い猫にしてください。猫用首輪は、安全上外れ易くなっていますが、飼い主がいれば、管理責任上早急に首輪を着ける筈です。首輪を着けなければ管理責任の放棄になりかねます。地域に配布するチラシに飼い猫の明示として首輪の装着をお願いしては、如何でしょうか。晴れて猫ボラの一員です。
保護した猫が8年かかっても、少し寄って来るだけなので、どうしたらいいのか との質問に、寄ってくることは信頼しているが、猫がどうしたらいいのか迷っている状態なので、あと8年待ってください。との回答でした。人が入れる大きめの据え置きゲージで飼い、ゲージの中に飼い主が入り、共に過ごす時間を多く作ることも必要との提案でした。譲渡会を開催していますと、慣れないと連絡がありますが、猫も個体差があり、人の思うようにはいきません。譲渡する子猫も、折り畳み式ゲージで人に馴らしていますが、世話する方が変わるので、子猫からすると、この人誰?から始まるので、飼い主になろうという方は、折り畳み式ゲージ(成猫になった状態でトイレ等がおける大きさが必要・・・子猫は隙間から脱走するのでゲージを網でラッピング)は必需品と感じています。猫が慣れれば、折り畳んで保管し、同行避難時にご活用ください。
マイクロチップの挿入についての質問は、先の東北大震災の教訓を生かし、入れるべき との明確な回答でした。入れていれば、事後の人・お金・場所の掛け方が違ったのは、明快との話です。勿論、どんな時でも、早々と同行避難をお願いします。猫の場合は、引き綱で連れて行くことは不可能なので、運搬するためのキャリーバック・避難先で入れる折り畳み式ゲージが必需品と思います。国は、同行避難の方針を出しています。各自治体共、対応方法を検討していますので、役所の担当課へご確認ください。
今回のセミナー開催に当たっては、両獣医師間で批判が勃発する事を心配しましたが、お互いを認め合う姿勢を感じました。日頃より最新の情報を取り寄せ、勉強をしていることが判りました。講演の中で、ボランティアの方が詳しいのでは?との投げかけもありました。参加者の方々は、講演中の眼差しとアンケート結果より専門性の高い知識を求めていることも判りました。講師の感想でも、熱いものを感じた との事です。また、当日参加できなかった数人の獣医師に ビデオを観て頂きましたが、開業すると現場に即した経験を見聞きする機会が減り、としても勉強になった との事です。
セミナー終了後の割り勘自由参加での親睦会に参加された両講師は、お互い面識がありませんでしたが、他の親睦会に参加された獣医師とお互い面識がり、業界の狭さを感じました。
また、¥1,770- のお釣りを当会へのカンパとした事をご報告いたします。ありがとうございます。
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